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本当にサッカー選手には4月生まれが多いか

早生まれは小学校までの運動能力において、どうしても不利になることが多いです。実際に、その傾向は成人になるまで続くのでしょうか。Wikipediaの日本のサッカー選手一覧より、プロサッカー選手の誕生日をまとめてみました。

目的

出生月とサッカー選手になれるかについて関連があるかを検討する。

対象

対象は、上記のページに載っている日本のサッカー選手4117人です。Wikimedia APIを用いてデータを取得致しました。

  • 除外対象
    • 生年月日の記載がWikipediaにない
    • 出生国が日本でない (海外の学校は3月開始でないことがあるため)

結果

対象のうち、生年月日の記載があり、出生が日本であると思われたのは3916人でした。
月別のグラフを下に示します。

4月生まれが最も多く、3月生まれは少ない、という事が分かります。

考察

思ったより大きな差がありました…。月別の出生数はそこまで大きく変わらないので、入学のタイミングによる差であると思います。

てことは、アメリカではやっぱり9月生まれが有利なんですかね。機会があれば調べてみたいと思います。

妊娠前と妊娠中の葉酸

妊娠前と妊娠中の葉酸 (folic acid)

葉酸はビタミンB類の一種で、DNAの生合成に強く関わっています。

日本人の食事摂取基準(2015年版)によると成人(18~29 歳)の推定平均必要量は200μg/日、推奨量は、240μg/日です。ただし、妊娠中は需要が増大するので、さらに240μg/日(付加量推奨量)を追加しましょう。

妊娠中の葉酸の補充が重要である理由は、神経管閉鎖障害が予防できるからです。

Neural_crest
(Public domain, created by Abitua, cited from Wikimedia commons.)

神経は最初は図の一番上のように、シート状になっています。このシートが折れ曲りチューブ状になることによって神経管(紫色部分)を作ります。葉酸が不足していると、ホモシステインという物質の濃度が高まることにより、このチューブを作る行程がうまくいかない( = 神経管閉鎖障害 ) ということがわかっています。

この神経管が作られる時期は受胎後およそ 28 日頃と妊娠の早期に起こりますので、妊娠してから摂取するのではなく、少なくとも妊娠1か月以上前には摂取を開始する必要があります。そのため、現実的には妊娠を計画した時点で葉酸補充を開始する必要があります。

葉酸はその名の通り緑黄色野菜などに多く含まれています。ただし、葉酸は加熱に弱い・水溶性であるために茹で汁に溶出する・推奨摂取量が多い・妊娠後も継続的に摂取する必要がある、などの理由があるため、食事に加えてサプリメントなどでの補充が勧められます。

ネイチャーメイド 葉酸 ネイチャーメイド 葉酸 や、
ピジョン サプリメント 葉酸カルシウムプラス 60粒入 ピジョン サプリメント 葉酸カルシウムプラス 60粒入 など
市販されているサプリメントが薬局などで簡単に手に入ります。

「天然葉酸」「合成葉酸」といった表記を見かけることがありますが、バカ高い「天然葉酸」を売りたい人が言っているだけなので気にする必要はありません。「天然であること」と「安全であること」は何の関係もありません。天然でも危険なものはたくさんありますし、合成でも安全なものはたくさんあります。

また、神経管閉鎖障害の予防のためには、妊娠3ヶ月までの補充が勧められていますが、そのほかにも葉酸補充は口唇・口蓋裂や先天性心疾患・自閉症の予防に関係しており、その後も補充が勧められます。

ただし、過剰摂取には要注意です。厚生労働省は耐容上限量算定の参照値を18μg/kg 体重/日 (50kgの方で900μg/日)に設定しています。

後期に葉酸をサプリメントで摂ることで喘息が増えるとの報告もありますが、こちらの報告は、補充に葉酸サプリメントを使っていた人は、サプリだけで2900μg/日(中央値)と日本と比べて著しく多く葉酸を取っていますので、そのまま日本のサプリと当てはめるのは無理があります。また、「関係がなかった」としている報告もその後でており、こちらについては過剰に心配しすぎるのはお勧めしません。

おすすめの文献

第8回 小児科専門医試験 2014年の記録

第8回(2014年) 小児科専門医試験を受けてきました。

病院によっては近くに試験を受けた人がいなくて、どんな試験であったか話を聞けない場合もあると思いますので、第9回(2015年) 小児科専門医試験を受ける人のためにも少し記録として残しておきます。

受験票が届くまで

受験資格

当然ですが、小児科専門医を受けるためには、受験資格と受験の申し込みが必要です。

受験資格としては

  • 2014 年 8 月 31 日までに,会員歴が連続 3 年以上,もしくは通算 5 年以上である者.
  • 2004 年以降の医師国家試験合格者で,2 年間の卒後臨床研修を修了後,学会の指定した研修施設(研修施設が予め登録した関連施設を含む)において 2014 年 8 月 31 日までに 3 年以上の研修を修了,または修了見込みの者.

とあります。要は、後期研修医になる時に普通に学会に加入していれば、3年間の研修を終えた時には施設に問題なければ受験資格があることになります。施設が専門医研修施設かどうかは、小児科学会のホームページ (要ログイン)で調べることができます。

出願までの流れ

2014年の書類について説明しています。2015年に必要な書類が同じであるとは限らないので、必ず小児科学会の公式資料で確認しましょう。

出願に必要な書類は以下のとおりでした。

  1. 受験出願書
    • 4 x 3 [cm]の写真の添付が必要です。また、大学の卒業年月日・医籍登録番号・医籍登録年月日・臨床研修終了登録日・小児科専門医研修開始日の記入が必要です。
    • 大学の卒業年月日は一般的に3月31日になのかと思っていましたが、手元に卒業証明書があったので見てみると、卒業年月日: 平成21年3月25日とはっきり記載されていたためこちらを記入しました。
    • 医籍登録番号登録年月日は、医師免許の後ろの方(厚生労働大臣 ○○のあと)に書いてあります。
    • 臨床研修終了登録日は12. 臨床研修修了登録証に書いてあります。
    • 小児科専門医研修開始日は後期研修開始日としました。
  2. 研修修了(見込)証明書
    • 指導医の署名と印が必要です。
    • 手帳の内容を記入する場所があります。
    • 受け持った入院症例数や外来・救急・剖検の症例数など、その場ですぐには書けない項目もあるので要注意です。
  3. 症例要約指導証明書(オリジナルとコピー 1 部)
    • こちらにも指導医の署名が必要です。
  4. 症例要約チェックリスト(オリジナルとコピー 1 部)
    • 誓約書に自署で「症例要約 30 症例は,研修期間中に研修施設あるいはその関連施設で自ら研修診療に携わった症例で,研修診療の実績に従って真実を記載しました」と書く必要があります。(例文として告示に書いてありました)
  5. 症例要約
    • かなり時間かかります!詳細は後述。
  6. CD-R
    • DVD-Rはコンビニにもあるけど、CD-Rがなかなか売ってなくて困りました。
    • CD-Rに入れるファイルのファイル名、CD-Rの表面に書く内容も決まってます!必ず告示をチェック。
  7. 臨床研修手帳
    • 大変面倒です。時間もかかります。
    • また、指導医の署名が必要な場所が何箇所もあります。研修を終えて病院が変わっている場合は、2., 3. とともに指導医の署名を得るまでに時間がかかりますので余裕を持って行動しましょう。
    • 僕は、提出直前に一箇所指導医の署名が抜けていることに気が付き、たいへん慌てるはめになりました。
  8. 受験票他受領用封筒(定型長形 3 号封筒に 90 円切手貼付,受験者住所・氏名を明記すること)
    • いまなら92円ですかね。
  9. 会員歴証明書
    • 大変重要です。この会員歴証明書の請求期限は2014年は4月30日まででした。つまり、出願期間が始まるまでには手に入れておく必要があります。
    • これを予め手に入れておかないと出願すらすることができなくなります。
  10. 医師免許証(写)(縮小可)
  11. 受験料振込受領書のコピー
    • 30000円でした。
  12. 臨床研修修了登録証(写)(2004 年以降の医師国家試験合格者は必要,厚労省から発行される)
    • 後期研修が終わった時点で病院から臨床研修修了証が交付されます。それを厚生労働省に送付することで本証が送られてきているはずです。
    • 紛失などで再申請には2ヶ月以上かかります。

以上の書類を、指定の出願期間である、 5月1日 から 5月31日2014年の場合; 当日消印有効)に上記書類を郵送することになります。

また、小児科学会に「○○の書類だけ今は揃わないのであとで送ります」と連絡をして、「後での送付で構わない」と許可が得られていたとしても、そのまま受験票が届かず、何を言ってもダメだったという例が多発しています。(ひどい話です・・・) 気をつけましょう。

症例要約

30例もいきなり思いつけません。珍しい症例があったらこまめにチェックしておきましょう。注意点を幾つか。

  • 初期研修期間の症例は残念ながら対象になりません。
  • 症例は思いついた順に書くのではなく、分野順に並んでいる必要があります。(告示に「疾病分野順に 1 から 30 まで番号をつけること。」と) 分野順に並んでいないのは減点対象だそうです。
  • 各分野に異なる疾患で少なくとも2症例ずつを含むことが必要です。
  • 冠動脈病変を伴わない川崎病は「免疫異常,膠原病,リウマチ性疾患,感染症」とか、糖尿病は「栄養障害,代謝性疾患,消化器疾患」に分類などいろいろ決まりがあります。告示の後ろにどの疾患がどの分野かが乗っています。必ずチェックしましょう。
  • その他、年齢の書き方や転帰の書き方も決まりがあります。
  • 「30 行以内とし 10.5~12 ポイントの字で書くこと。」とあります。注意が必要な点として、小児科学会のテンプレートファイルは、30行を超えても入力できてしまうという点があります。提出前に必ず行数を確認しましょう。
  • 受持期間が研修期間外の症例、記載漏れ(性別・転帰等)、不適当な分野、症例要約指導証明書との不一致など、不備がある場合には減点です。

受験票

無事出願が受け入れられると、7月末に受験票が届きます。第8回小児科専門医試験の受験票は7月18日に発送されています。

受験票とともに、会場の案内、筆記試験・面接諮問の時間、近くのホテルの案内が入っています。ホテルは別で自分でとったほうが安価でした。

試験

2014年の小児科専門医試験はベルサール汐留でありました。

最寄り駅は 大江戸線 築地市場駅 / ゆりかもめ 汐留駅 / JR 新橋駅 あたりでした。

追記: 2015年(第9回)は、国立京都国際会館で開かれるようです。

試験は2日間に分かれて行われ、

  • 1日目 (2014年9月6日 土曜日) 筆記試験
  • 2日目 (2014年9月7日 日曜日) 面接諮問

という日程になっていました。

1日目 筆記試験

試験は昼からです。2014年は、12:00から開始で、途中で休憩を1回挟んで2部に分けて行われました。試験は120問でマークシート方式です。

試験問題に関しては、先輩から聞いていた過去問と全く同じ問題は少なかったですが、分野・疾患に関してはかぶっている部分も多かったです。解答に迷う問題も多く、後で思い返して教科書を見ても解答がわからない問題もありました。試験はマークシート方式で行われ、問題はすべて回収されます。

勉強方法としてのやるべきことは、

  • 専門医試験モデル問題
    • 以前、日本小児科学会のホームページに掲載されていたものです。分野別に問題・解答・解説が載っている48ページの問題集です。実際の試験の雰囲気などを味わうには一番良いかもしれません。現在はホームページからは残念ながら取下げられているようですが、4−5年くらい前までは掲載されていたようなので、そのころに受験した小児科のDr.が居れば、聞いてみるのもいいかもしれません。
  • 第1, 2, 3回の専門医試験過去問題抜粋
  • 復元問題
    • 問題は回収されますが、病院や大学によっては、先輩方が出ていた問題のメモ・復元をしてくれているかもしれません。2014年のものに関してはこのページの最後にまとめておきます。
  • 専門医をめざす!小児科試験問題集 増補版
    • 専門医をめざす 小児科試験問題集 増補版 専門医をめざす 小児科試験問題集 増補版 おそらく皆さんこれをやっているんではないでしょうか。試験会場を見渡しても最も持っている人が多いのはこの本でした。やや問題が古く、実際の試験よりは難易度が高いものとなってはいますが、全分野にわたって問題が網羅されているので、ひと通り勉強するには便利でした。この問題集を解きながら、下記の教科書や参考書を見ていくことになると思います。
  • 国試マニュアル 100パーセント 小児科
    • 国試マニュアル 小児科 国試マニュアル 小児科  国家試験の時にお世話になった人も多いのではないでしょうか。おそらく、国試の時に使ったものより新しい版が出ていることになっていると思われるので、余裕があれば買い替えておいたほうが便利です。

2日目 面接諮問

面接諮問の時間はバラバラです。午前から午後までの試験時間がありますが、そのうちのどこで受けることになるかは、受験票が手元に来るまで分かりません。ただし、だいたい願書を提出した順番になっているようです。沖縄からの受験でも提出が締め切りギリギリであれば、試験の時間は後ろの方になります。遠方からの受験の方は試験後に帰宅することも考えて、余裕を持って願書を提出しましょう。

1日目の試験の時に、面接開始の30分前までに会場に必ず着いておくようにアナウンスが有ります。余裕を持って到着しておきましょう。

試験会場は80のブースがあります。会場に案内されたら、自分のブース番号の前にある椅子に着席して待機して、ベルの合図で面接ブースに入る(といっても、2m移動する程度)ことになります。そこで、面接官2人と向きあって受験票を渡すことになります。

試験開始した時点で、提出した症例のうち2症例を渡され目を通すように言われます。目を通し終わったら、対象の2症例についていろいろと質問されます。どんな内容が聞かれるかは面接官次第のようで、鑑別診断や検査結果の解釈について聞かれる場合があれば、提出した部分だけでは分からないそれまでやその後の経緯を聞かれる場合、ほとんど雑談で終わる場合など様々なようでした。

終了5分前に一度ベルがなり、その時点で面接が終了すれば退出するように言われます。その際、受験票の裏に終了確認のスタンプが押されますが、問題があれば再試験のように残るようにいわれるそうです。(周りを見てもそのまま会場外に出る人ばかりでした。)

結果発表

結果が届くのは、毎年12月末だそうです。2014年は12月25日 クリスマスに届きました。簡易書留で届きました。

合格の封筒も不合格の封筒も、ぱっと見では違いが分かりませんが、触ってみると振込用紙や登録用紙が含まれている分、合格の封筒のほうが分厚いです。

また、近くの人達の封筒から、合格の封筒は和封筒(短辺を閉じるタイプ)・不合格の封筒は洋封筒(長辺を閉じるタイプ)という噂がありますが、nが少ないので確からしさは低いです。

fuutou …との噂です。

そして、これが一番大事な点ですが、合格していた場合1月7日まで(2014年の場合)に登録をする必要があります。合格通知が届いてから2週間ないため、冬休みなどや年末年始で簡易書留が受け取れなければそれだけでアウトになってしまいます。気をつけましょう。

ここまで読んだ皆様、お疲れ様でした。一応、2014年の試験問題の内容を小児科専門医過去問2014にこっそり置いておきます。復元問題として見るのではなく、こんな分野が出るんだなーくらいに思っていただければと。

2013年の記録についてはぐーたらおの日記 8th Stageを参照して下さい。

成人・小児のGFR計算式

eGFR(推定糸球体濾過量) または CCr(クレアチニンクリアランス) が 腎機能の評価に使われます。

しかし、計算式にはいろいろなものがあり、大変わかりにくくなっているのでまとめておきます。

Cockcroft-GaultのCCr計算式

臨床現場でもよく利用されている式です。原典はCockcroft D W & Gault M H. Prediction of creatinine clearance from serum creatinine. Nephron 16:31-41,1976.です。18歳から92歳の249人を対象として求めらた式です。

体表面積1.73m2を基準にしているので特に小柄な人では値がずれやすいのに要注意です。また、Jaffé法(後述)を使用しています。

男性:   女性: 

この式で求めるのはeGFRでなくCCrです。クレアチニンは(イヌリンと違い)尿細管からの分泌を受けるため、厳密に言うと糸球体濾過量+αの排泄があります。そのため、GFRよりCCrの方が少し大きな値になります。CCrをeGFRに変換する数式としては、Leveyの補正を用います。

MDRD

MDRDはModification of Diet in Renal Diseaseの略です。

一番最初のMDRD式の原典はLevey AS, Bosch JP, Lewis JB, Greene T. A More Accurate Method To Estimate Glomerular Filtration Rate from Serum Creatinine: A New Prediction Equation. Ann Intern Med. 1999;130(6):461–70.です。上記のLeveyの補正もこの論文に乗っています。

原典タイトルにMore Accurateと書いてあるように、Cococroft-Gaultの式を意識してます。MDRD studyに参加した1628人(式を求めるために1070人、確認のために558人)を対象としました。

式はとてもむずかしく、

 (SCr: 血清クレアチニン [mg/dL]), SUN: 血清BUN [mg/dL])

で、出てきた値に女性の場合は0.762、黒人の場合はさらに1.180をかけることになります。また、Jaffé法(後述)を使用しています。

その後に、Levey AS et al. Using Standardized Serum Creatinine Values in the Modification of Diet in Renal Disease Study Equation for Estimating Glomerular Filtration Rate Ann Intern Med. 2006 Aug 15;145(4):247-54.で血清クレアチニン値をJaffé法から放射性同位体を使って測定する方法と同等に補正し(Serum creatinine levels were calibrated to an assay traceable to isotope-dilution mass spectrometry.)、変数を変更した下の式が作られました。上記・下記と区別する時は、MDRD186と呼ばれます。

男性: 

女性: 

本式も、黒人の場合は1.212を乗ずる事になります。

ここで話は終わりません。なんと、前述のMDRD studyでの症例の凍結血清を酵素法で測りなおしをして再度、予測式が作られました。Levey AS, Coresh J, Greene T, Marsh J, Stevens L a, Kusek JW, et al. Expressing the Modification of Diet in Renal Disease Study equation for estimating glomerular filtration rate with standardized serum creatinine values. Clin Chem 2007 Apr 53(4):766–72.です。MDRD175とも呼ばれます。

男性: 

女性: 

本式も、黒人の場合は1.212を乗ずる事になります。

日本人向けMDRD

上記の式で「黒人の場合は1.212」とありましたが、日本人の場合はどうなのでしょうか?

MDRDは当然白人が母集団になっているため、日本人のGFRと異なった推測がされる可能性が十分にあります。

そのため、日本人向けの補正係数が求められました。ただ、補正係数に関しては難解なことになっており、

現在では下記の日本人のGFR推算式ができたので、この方法は使用されていません。

ちなみに、同様のことを中国でやっている Ma Y-C, Zuo L, Chen J-H, Luo Q, Yu X-Q, Li Y, et al. Modified glomerular filtration rate estimating equation for Chinese patients with chronic kidney disease. J Am Soc Nephrol. 2006 Oct;17(10):2937–44.もあり、MDRD186に1.233をかけるというものになっています。

日本人のGFR推算式

長々と説明してきましたが、とりあえずはこの式が一番重要です。

従来のMDRD式はGFRが60mL/min./1.73cm2以上の若年層で腎機能を過小評価するという欠点があり、また日本人向けの補正係数があるとはいえ正確性に欠けるものでした。

プロジェクト「日本人のGFR推算式」と銘打ち日本腎臓学会が総力を上げて作ったのがこの式です。Matsuo S,et al. Revised equations for estimated GFR from serum creatinine in Japan. Am J Kidney Dis. 2009;53(6):982-92. で日本人向けの式が作られました。イヌリンクリアランスを元に計算された式で;

男性: 

女性: 

これが、現在日本で最も使われている日本人向けの式になります。

実際の計算を行う方は医療計算機へどうぞ。

CKD-EPI

前述のように、MDRDにはeGFR ≧ 60の時に正確性に欠けるという欠点がありました。そのため、欠点を補う目的で作られたのがこのCKD-EPI式です。出典はLevey A, Stevens L. A New Equation to Estimate Glomerular Filtration Rate. Annals of Internal Medicine 2009;150(9):604–12.

式は、難解です。

ただし、
κは男性で0.9, 女性で0.7
αはScrがκより大きい時は-1.029, そうでない時は男性は-0.329, 女性は -0.411
女性の場合は更に1.018をかける
黒人の場合は更に1.159をかける

というものになっています。

日本人向けCKD-EPI

MDRDがそうであったように、CKD−EPIにも日本人向け係数が作られました。

Horio M, Imai E, Yasuda Y, Watanabe T, Matsuo S. Modification of the CKD epidemiology collaboration (CKD-EPI) equation for Japanese: accuracy and use for population estimates. Am J Kidney Dis . Elsevier Inc.; 2010 Jul;56(1):32–8.が出典です。

上記のCKD-EPI式に0.813を乗ずる、というものになっています。

Schwartzの式

さて、ここからは子どもの話です。

Cockcroft-Gaultの時代から、成人と同じ式を小児に当てはまるのは無理があると考えられていました。最初に発表されたのが、Schwartzの式です。出典はSchwartz, et al. A Simple Estimate of Glomerular Filtration Rate in Children Derived From Body Length and Plasma Creatinine Pediatrics 1976; 58:2 259-263です。

これは、いろいろと欠点がありながらも簡便でベッドサイドでも計算ができるため、長らく使われてきました。式は

と大変シンプルです。

  • 1歳以下(低出生体重児): k = 0.33
  • 1歳以下(正常出生体重児): k = 0.45
  • 2~12歳: k = 0.55
  • 13~21歳男: k = 0.70
  • 13~21歳女: k= 0.55

となっています。気をつけないといけないのは、CreはJaffé法を想定しており、酵素法が主流となった現在では、Jaffé法のCre = 酵素法のCre + 0.2を使用して補正を行ってから代入を行う必要があります。

新しいSchwartzの式

Schwartzの式が発表されてから何十年も過ぎ、新しい計算式が開発されました。しかし、式が難解で、引数として身長・血清クレアチニン・シスタチンC・血清BUN・性別を必要とするものになっています。原典は: Schwartz GJ, Muñoz A, Schneider MF, Mak RH, Kaskel F, Warady B a, et al. New equations to estimate GFR in children with CKD. J Am Soc Nephrol. 2009 Mar;20(3):629–37.です。

この論文中に簡易的にベッドサイドで使える式として

があります。この血清クレアチニンは酵素法です。

日本人小児のGFR推定式

Cockcroft-GaultやMDRD同様に、欧米人と日本人の体格差を考えると、そのまま計算式を当てはまるのは無理があると考えらました。

そこで、小児 CKD 対策委員会が2つの新しい計算式を発表しました。出典はこちらです。

ひとつはベッドサイドでも使える簡易式で2歳以上から12歳未満が対象です。

もう一つは、より正確な値が求められる五次式で、2 歳以上 19 歳未満で使用できます。

ただし、CreStd(血清クレアチニン基準値)は

男児:-1.259 Ht5 + 7.815 Ht4 – 18.57 Ht3 + 21.39 Ht2 – 11.71 Ht + 2.628
女児:-4.536 Ht5 + 27.16 Ht4 – 63.47 Ht3 + 72.43 Ht2 – 40.06 Ht + 8.778

となっています。手計算はなかなか面倒ですので、実際の計算を行う方は医療計算機をどうぞ

LMS法について

近年、年齢ごとの標準値などを考える際に、LMS法という統計手法が用いられることが多くなっています。

従来の正規分布の考えと、その考え方からなぜLMS法が生まれてきたかを解説します。

正規分布とは?

まず、LMSについて考える前に、正規分布(normal distribution)についておさらいしましょう。

正規分布とは平均を中心とした左右対称山形の確率分布です。

よく、高校数学や統計学の教科書で下のようなグラフを眼にしたことがあると思います。

normdist

中央に行くほど山が高くて、裾野に行くほど左右対称に低くなっています。

この正規分布は統計学において頻繁に利用されており、多くの統計的手法(t検定や分散分析など)が、母集団が正規分布に従っていると仮定して使用されています。

たとえば、12歳の男児の身長を考えてみましょう。平均149.1[cm], 偏差 7.6 [cm] で下のようなグラフで表せます。

12yoht

赤い線が平均(149.1[cm])です。このグラフを見れば

  • 12歳の男児では、149[cm]付近の子が多いこと。
  • 140[cm]くらいの子と160[cm]くらいの子は同じくらいの人数がいること。
  • 165[cm]を超える子は割合としてはかなり少ないということ。

がわかります。

また、平均からどのくらい離れているかをZスコア(SDスコア)を用いることで表すことができます。例えば、身長 156.7[cm]の子は、平均からちょうど偏差分だけ離れている(156.7 – 149.1 = 7.6)ので+1.0 SDと表すことができます。これによって同じ年令の子どもと比べてその子の身長がどうか、また背の低かった子は、2年前と比べて身長が他の子に追いついてきているのかそれとも離れていっているかを簡単に調べることが出来るようになりました。

LMS法とは?

大変便利な正規分布ですが欠点がありました。それは、表したい数値が正規分布に従っていない場合には使用できないというところです。

たとえば、予定日ちょうどで生まれた男児の体重は下のグラフのようになっています。

(注: 実際は下記ほど偏り方(歪度)が強くないです。説明をわかりやすくするために少し誇張して描いています。)

largel

出生体重は上のように正規分布に従っておらず、山が少し右に偏っていて、裾野が左に長い形をしています。

このように表したい数値が正規分布に従っていない場合に、Box-Cox変換を行うことで正規分布に近づけることがあります。

LMS法は、従来の平均(LMSのMに相当)と正規分布の幅の広がり方(LMSのSに相当)に加え、Box-Cox変換の係数であるL(歪度)を加えることで左右に偏ったデータを表せるように拡張したものとなっています。

経口セフェムメモ

自分用に薬の使い分けメモを書いていく。

いちおういろいろ調べて書いてますが無保証です。臨床で使われる方はご自分でも調べて使ってください。

第1世代

腸球菌(Enterococcus)をのぞくグラム陽性球菌・E. coliなど

  • Cefalexin [CEX] (ケフレックス)
  • Cefaclor [CCL] (ケフラール)

使い分け

  • CEXは扁桃腺への移行がCCLより悪い
  • CEXはおいてない病院・薬局が多い(らしい)
  • CEXは腸球菌への適応がなぜか通っている(もちろんセフェムなので使わないのが無難だと・・・)
  • CCLは吸収率がCEXより悪い(同量だと血中濃度が低くなる)
  • CCLはH. influenzaeに効果あり。ただし、β-lactamase産生菌には無効。
  • CCLは他のβラクタム系と比較してアナフィラキシーの頻度が10倍以上高い。
  • 第3世代(CFDN, CFPN-PI, CDTR-PI)と比較して常用量が多い(CDPN-PI 9mg/kg/day に対して CCL 30mg/kg/day)→少々MICで劣っていても血中濃度は高くなるので、感受性のあるMSSA, E.coliなら優位かも

第2世代

腸内細菌に強くなった代わりにグラム陽性菌に弱くなった。インフルエンザ菌に効く。

  • Cefotiam [CTM] (パンスポリン)
  • Cefuroxime Axetil [CXM-AX] (オラセフ)

使い分け

  • あんまりどっちも使わないからわかんない

第3世代

より広くなった。髄液移行性がよくなった。

  • Cefdinir [CFDN] (セフゾン)
  • Cefcapene Pivoxil [CFPN-PI] (フロモックス)
  • Cefditoren Pivoxil [CDTR-PI] (メイアクト)

使い分け

  • CFDNはスペクトラムがちょっと狭い。
  • というかCFDNって第2世代じゃなかったの?
  • CFPN-PIは淋菌への適応がある。
  • CFPN-PI・CDTR-PIはそれほど耐性でないPRSP・BLNARにも効果がある。
  • CDTR-PIは牛乳アレルギーの人には使えない。→最近のは大丈夫

その他

FRPM (ファロム)

  • PRSPに有効.

医療における単位メモ

なんかいっつも覚えにくいなぁと思っていたのでメモっておく

フレンチ

カテーテルの外径・シースの内径の単位。FrとかFと略す。導尿・経管栄養(NGT)・気管内吸引・心カテなどいろんなところで大活躍。考えた人:フランス人のJoseph-Frédéric-Benoît Charrièreさん。19世紀パリの医療機器メーカーの人。フランスでは「フレンチ」ではなくCharriere (略号はCh)という名前で呼ばれるらしい。

1 Fr ≒ 1/3 mm。すなわち、6 Fr = 2 mm。15 Fr = 5 mm。

ソース:French Catheter scale (Wikipedia en) とかもろもろ。

ゲージ

注射針の外径や針の太さ。CV/PIカテーテルでは外形にも内径にも用いられます。新生児に使う27GのダブルルーメンPIカテーテルもあれば透析に使う16G針まで。もっと太いCVカテーテルでは上記のFr表記が用いられることがあります。

正式名称はBirmingham Wire Gauge (またはStubs Iron Wire Gauge)。イギリス生まれの単位。Gと略す。

数字が大きいゲージほど細いです。念のため。24Gより16Gのほうが太いです。

1ゲージ大きくなったからこれだけ細くなりますよ、ってのはない(not correspond to a particular mathematical pattern)らしい。Wikipediaさんには医学においてはXX G = 1/XX inchと近似することもありますよなんてことを書いてあるけどびっくりするほどかけ離れた値が出るのであてにならない。おとなしく変換表を見たほうが安全そう。

まぁフレンチと違って「0.2mm」とか言われても細すぎてあんまり実感がわかないけど、変換表を見ればサイズは分かると。色で覚えたほうが安心安全そう。

ソース:  Needle gauge comparison chart (Wikipedia en)

挿管チューブ

単位はmm。実に分かりやすくていいですね。

超低出生体重児に使う2.0mmから成人男性に使う9.0mmまで、0.5mm刻みで製造されています。

添付文書にI.D.と記載があるので内径なのでしょう。

喉頭鏡のサイズ0とかサイズ1とかはどうやって決まってるかはよくわかりませんでした。

縫い糸

一番細い糸を#1、太い糸を#6をまず決めたが、技術の進歩でより細い糸を作れるようになり、#1より細い糸を#0, #00(=2-0), #000(=3-0)…と呼ぶようになったとのこと。サイズ一覧表

気圧単位系

血圧はmmHg(ミリメートル水銀柱)。1気圧 = 760mmHg。他分野ではどんどん他の単位への置き換えが進んでいる古い単位だけど、血圧に関してはしばらくは使う続けられると。「血圧 200/160 ヘクトパスカル」とか言われても 高いんだか低いんだかわからないし。

呼吸関係はcmH2OかkPa。1気圧≒1030 cmH2O≒101 kPa。10cmH2O ≒1 kPa。PEEPやPIPなど呼吸器の設定では未だにcmH2Oが多い。計量法に従っている吸引器や麻酔器などでは基本的にSI単位系であるkPaをちゃんと使用しているはず(cmH2Oを併記しているものもあります)。

クレアチニンとGFRの推定(成人・小児)

この投稿の内容はやや古くなっています。新しい記事をご参照ください

計算(医療計算機)

CCr, eGFR(成人)

Schwartzなど小児

蓄尿から

Cockcroft-GaultのCCr計算式

Ccr = {(140-Age) x Wt(kg)} / { 72 x Cre[mg/dL]} ( 女性は x 0.85)

日本人のためのGFR推定式(2008年日本腎臓学会)

GFR(ml/min/1.73m2) = 194 x Age-0.287 x Cre-1.094 (女性は x 0.739 Cre: 酵素法)

Schwartzの式(小児)

GFR(ml/min/1.73m2) = k x Ht[cm] / Cre[mg/dL] (Cre: Jaffé法)

k
1歳以下(低出生体重児) 0.33
1歳以下(正常出生体重児) 0.45
2~12 0.55
13~21歳男 0.70
13~21歳女 0.55

ただし、Jaffé法のCre = 酵素法のCre + 0.2

小児の正常GFR

年齢 平均GFR mL/分/1.73m2
13日(男児・女児) 20±5
414日(男児・女児) 37±7
28週(男児・女児) 66±25
8週~2歳(男児・女児) 96±22
212歳(男児・女児) 133±27
1321歳(男児) 140±30
1321歳(女児) 126±22

小児の正常血清CrJaffé法)

年齢(歳) 男児 女児
1 0.40.30.6 0.40.30.6
2 0.40.30.6 0.40.30.6
3 0.50.30.7 0.40.40.7
4 0.50.30.7 0.50.40.7
5 0.50.30.7 0.50.40.8
6 0.50.40.7 0.50.40.8
7 0.60.40.7 0.50.40.8
8 0.60.40.7 0.60.40.8
9 0.60.40.8 0.60.40.8
10 0.60.40.8 0.60.40.8
11 0.60.40.8 0.60.40.8
12 0.70.50.8 0.60.40.9
13 0.70.50.9 0.60.40.9
14 0.80.60.9 0.70.40.9
15 0.80.61.0 0.70.51.0
16 0.90.71.0 0.70.51.0
17 0.90.71.1 0.80.51.1
成人 1.050.81.3 0.80.61.0

参考文献:

日本腎臓学会編(09年)/ガイドライン 第16章 小児CKDの診 http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0067/1/0067_G0000189_0142.html